5. ようやくご対面

5. ようやくご対面

これは私の経験談です。続き物になっています。

ようやくご対面

夜7時に出産して、当日は私はわが子と対面できていなかった。

昨日夜父から
「生まれた赤ちゃんの鼻と耳に奇形があり、耳の片方もふさがってる」
ことと、
「出産のときに心音がかなり落ちたが今は落ち着いてると思う」
ということは聞かされていた。

「そうか」と思いつつもそれ以上の事は思いつかなかった。
昨日のお産で疲れてしまっていたのか「考える」ということがあまりできなかった。

次の日お昼のテレビをつけたら北海道のトンネル崩落事故の話ばかりだったのを覚えている。

夫と二人でテレビを見ていたら婦長さんが我が子を抱っこして個室に来てくれた。

ファーストインプレッション、直感は第一印象と言われるが、私がわが子に対して思った第一印象は忘れもしない。

「うわあ。私のところに来てくれてありがとう!!」だった。なぜかはわからないが。

その後すぐ
「よくがんばって生まれてきてくれたねーーーー」
と感極まり、涙がいっぱい出てきた。

先に書いたように父から鼻の奇形の事は聞いていた。
自分が今抱っこしているわが子の顔はもちろん見えるけれど、私の心の目には見えてなかったのか、思考出来ない私がいたのか、
そんなことよりもがんばって生まれてきたわが子がかわいくていとおしくて仕方なかった。

「ああ。そういえばなんかいろいろ(障害)あるね。手術ちょっとすればこんなの大丈夫だよー」という程度だった。

「いやーー。よくがんばったねーー」と赤ちゃんを左右に揺らしながら嬉しそうな私が夫が撮ったビデオに映っていた。

分娩室であったこと

その後、しばらく経って聞かされた話。

分娩室で赤ちゃんの頭、そして顔が出てきたときに鼻の奇形を見つけた先生は、
即座に「おい。はよ来てくれ」と一階の小児科の先生(先生の弟さんでもあるのだが)に緊急の電話をしたらしい。
赤ちゃんの体の一部に奇形が見いだされると「心臓にも奇形があるかもしれない」という視点を医師はまず先に持つようだ。
私の場合、出産時赤ちゃんの心音が落ちてきて危険な状態だったので「早く出さねば」と、吸引分娩を処置してくださった事が幸いした。

出産後その小児科担当の先生が診察してくださったのちに、夫と私の両親が先生に呼ばれ、出産状況と赤ちゃんの説明を受けたようだった。
ちょうど私が産後すぐの注射で寝かされていた間である。

赤ちゃんに鼻と耳の奇形がある事、
胎盤が剥がれかかっていて羊水がかなり濁っていた事、
それで心音が落ちていた事、
もしかしたら心臓にも奇形があるかもしれない、先がわからない。もしかしたら(赤ちゃんは)一週間持たないかもしれない。覚悟してください。

と言うようなことを先生から告知されたようだった。

夫が
「あんなにも赤ちゃん楽しみにしていたのに….純子がかわいそうすぎる。。。」
と後にも先にもないくらいの涙を流したようだった。

「うちの子はそんなんでへこたれるような弱い娘じゃない!」
即座に母が返したようだった。

それでも母は私のこれからの事が心配で一晩一睡も眠れなかったようだった。

障害の告知に対して

あとで調べてわかったことだが、当時はまだ
小さな産院は出産直後に新生児が奇形の症状が見受けられた時に、それを告知する時の環境が整っているところというのはまだまだ少なかったようだ。

赤ちゃんの両親がその事を受けとめた時の衝撃は病院に依存されてしまう。

今は大きな病院だときっとマニュアルがあるのだと想像する。

私の場合は産後パニック状態の時にすぐに母親に対面させず、(母親の)体力の回復を待ってから赤ちゃんと対面させよう。との病院側の判断だった。
病院も夫も父も母も「私が現実をどう受け止めるだろうか?」を一番に心配していたんだと思う。

夫が、実際に初対面した時の私の事(この記事の前半)を
「なんて強いんだろう。と思った」と後になって言っていた。

「強い」も何も大体「強い」ということを言われたことに驚いた。

でもとらえ方によっては、
たとえば(障害の)告知が私になされて、私が真っ先にその事を彼らの予測通りに悲観し、その上で実際対面した時の私の態度があったとすれば
それを人は強いって思うのかなあ。。??考えすぎか。

「へえ、人ってそういうのを強いとか弱いとか言うんだ。。」と思った。

私にとっては、ちょっと前は「生きているのかどうか心配」だったわが子を抱っこ出来てる今が嬉しいだけで他の事は頭になかっただけだった。

「現実を知った時の私」は周りが想像していたものと全然違っていたようだ。

きっと母親というものは、「普段の意識よりももっと(普段)気付かないような深いところでの意識」でのわが子との絆のようなものがしっかりとあるのだと思う。
父親には想像できないような絆が。

そう書くと「当たり前」と言われそうだけど、忙しく子育てせざるを得ない昨今、当の私もバタバタと子育てをしてきたわけだが、
(子育てに関しての)母親だからこそ働く「情」や「感」のようなもの(動物的なもの?)があって、
そういうものは大切にせなばと改めて思う。

なぜ赤ちゃんが緑色をしていたか

出産直後、ちらっと見えたわが子が緑色に見えたのだがその理由。

赤ちゃんは普通、母親のお腹の中で便はしないものらしいが、お産より先に胎盤が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離によって酸素が十分に届かなくなり、ストレスが原因で便をするそうだ。

派手なおしるしだと思った大出血がそうだった。命綱でもある胎盤が剥がれかかっていたことでお腹の中の赤ちゃんは酸欠で苦しんでいたのだ。

酸素が行きとどかないって。。。どれだけ苦しかっただろう。

その後の診察で、「いやーほんまに生きて生まれてきたことが奇跡やわ」と先生から言われた。

赤ちゃんに関しては、心臓にも奇形があるかもしれないし、雑音もあるので
詳しい検査を一週間後、退院してから県立の大病院で検査していただきましょう。ということになった。

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