4. いよいよ出産

これは私の経験談です。続き物になっています。

半狂乱の陣痛

あまりの痛みに叫ぶわ涙はでるわの半狂乱だった。
自分の体がどうなってしまうのか怖くてたまに診察に来た先生の手を握ったまま離さなかった。
のちに出産後、「奥さんは痛がりの感情が大変豊かでいらっしゃる」とホメられてるのか笑われてるのかわからないご意見をいただいた。

夫は先生のこの表現に大ウケし、私に「痛がりの感情が豊かな奴」とレッテルを未だに貼っている。

母は私のあまりにもの半狂乱ぶりに「変わってあげられるものなら変わってあげたい」と言っていた。

いよいよ出産

画像1

分娩室に入ってからはあまり覚えていない。

夫の「がんばれがんばれ」の声を覚えている。

「がんばれ」という言葉はこの時こそぴったりな言葉だと思った。

 

鼻の穴からボーリングのボールが出る感じとは聞いていたがまさしくそんな感じ。

「えーありえない!」と思ったが流れに委ねるしかなかった。
でもこんな狭いところをくぐってくる赤ちゃんの方が苦しいのだと思った。

先生が掃除機のようなもので赤ちゃんの頭を吸っていたのは覚えている。
あーでてきたでてきた。もう一息!
頭が出たら後はつるんと出てきた。

 

看護婦さんがなにか赤ちゃんにしたあと足元で

「う。うえっ」

と小さな声が聞こえた。「オギャー」ではなかった。

出てきた赤ちゃんの後ろ姿がちらっと一瞬見えた。

 

あれ?あかちゃん。。緑色??してないか???

でもあまりに半狂乱で興奮しすぎていたためか
看護婦さんから「はい。ちょっと楽になるからねーー」と注射を打たれたようだ。
なにか周りが慌ただしく、バタバタしているような感じだったというのだけは覚えている。

意識がもうろうとする。注射のせいかな。

眠らされたようだ。

分娩室が慌ただしかった事も、注射を打たれた事も、緑の赤ちゃんの意味も後になってわかる。

出産後父から告げられる

出産したらかわいいわが子をすぐに顔の横に寝かしてもらって対面できるものだと思っていた。
その感動のシーンをビデオに収めようと夫はビデオまで分娩室に持ち込んでいたのだから。

パニックながらも「あれ??なんで赤ちゃんに会わせてくれへんのかな?」と思った。

後で夫から聞いた話、とてもじゃないけどビデオなんて回すような雰囲気じゃなかったようだ。

産後すぐわからないまま注射を打たれて1時間ほど眠ったみたいで、
目が覚めてもまだ分娩室で寝ていた。

周りはすっかり片づけられていて若い看護婦さんが一人残っていた。

「ねえ。(わたしの)あかちゃんはー?元気なん?男の子?」

頭は究極にボーーーーっとしていたが質問してみた。

「元気よ。さあ。お部屋に行きましょうね」

とストレッチャーで個室へ戻った。

 

個室で少しまた寝て目が覚めると父と母と夫が沈んだ顔をして座っていた。

父が改まって

「あのなあ。。。ショック受けたらあかんで。。。赤ちゃんなあ、いっぱい奇形があって詳しく調べてもらわなあかんねん」

まだ頭がボーーっとしている状況でそれを聞いた。

「え。生きてるの?今 元気なん?」

「元気は元気みたいやけど…。」

「それやったらええ。」

自分の体の事で精いっぱいで赤ちゃんの事を想像することができなくてそれしか言えなかった。生きていればいいや。とその時は思った。

赤ちゃんが生まれたというのになぜかみんな暗い顔をしていた。

Leave a reply

*
*
* (公開されません)

CAPTCHA