身体が喜ぶ田植え体験
私は、姫路市の生まれで、小学校5年生の時まで姫路で育った。
家は田んぼに囲まれたような環境だった。
小さな頃は田んぼに入って稲刈りの後残された5センチ位の稲を踏んだり、稲架掛けで干された稲をカーテンをくぐるようにしたりしてよく遊んだのを覚えている。
田植え前のレンゲ畑が大好きで、近所の友だちと座り込んで花を摘んでよくネックレスや花輪を作った。
稲刈の後踏んだ足の感触、
稲の匂い、
野焼きの匂い、
田んぼの泥のぬかるみの感触、
レンゲの鮮やかな色、
田んぼの蛇に驚いて泣いたこと、
台風の後、大男が田んぼを踏んづけたように稲が皆倒れていたこと、
五感を通して得られた小さい時の思い出はすべてが美しい。
そんな環境にいたのだが、田植えや農作業という作業自体は全然経験がなかった。
今年に入って、知人が借りている田んぼで作業のお手伝いをする機会を頂いた。
参加したのは5月の田植え。
裸足で田んぼのぬかるみに入った。小さい時の感触を思い出す。
土(泥)の上を裸足で立つとアーシングされるという。
アーシングとは地球の大地と人間が直接肌でつながることだ。
現代社会はゴム底の靴を履いて舗装された道路を歩いている。
人類の歴史という長いスパンで見ればこの現代社会の状況はほんの最近のことだ。
近代は環境は大きく変化してはいるが、脳や身体の構造は何万年前の人間と変わっていないそうだ。
普段得られない懐かしい感触を得て足底はもとより体全体が喜んでいるのが分かる。
土の上を裸足で立つと、身体の中に溜まった電磁波が大地に流れていってくれる。
泥・土を相手にする作業や泥に入ることはどっと疲れが来る。
それは好転反応でいいことだと思う。
どっと疲れてどっと寝て、次の日スッキリ♡
この場所(田んぼ)はずっと農薬を使わない自然農法でされているそうだ。
農薬を使ってしまうと、土の中の生物環境が破壊されてしまって5年は土を寝かせておかないと土が復活しないそうである。
だからなのか、
透き通った水田に目を凝らすと様々な生き物たちの世界が見えるのがなかなか趣深い。
水田は小宇宙だ。
除草剤、農薬を使用してしまうと、微生物やこの虫たちも減ってしまう。この小宇宙の調和を大きく乱してしまう。
美味しい食べ物をつくるためには、無農薬のほうがいいに決まっている。
しかし実際、はじめて田植えや田んぼの草抜きを体験して、本当に時間のかかる根気のいる仕事だと思った。
植物、生き物を育てるということは雨や風などの自然条件も当然絡む。
当たり前に毎日お米を頂いている私だが、改めていのちを育てていくということは忍耐と体力の必要な大変な仕事だなあと身体にしみる。
手間暇かけることが大切とわかりながらも、生産効率を上げたくなる人間の気持ちがわからなくもない。
何事も身体で体験してみないとわからないものだ。
最近は微生物(特に土)に人々が触れる機会が減り、過度の消毒や、洗剤、薬、食品添加物などの影響で身体の微生物を殺してしまうような生活に産業革命以降入ってしまったが故に増えている病気というものが多いらしい。
土に触れる機会というのは人が生きていく上でそもそも必要なことなのだと思う。